パナソニックS5は、フルサイズミラーレスカメラ市場に波紋を広げています。軽量設計、優れた画質、強力な動画機能を備えたこのカメラは、写真と動画の両方を扱うハイブリッドクリエイターの注目を集めています。改良されたオートフォーカスシステムと手頃な価格は、多くのユーザーにとって特に魅力的です。このレビューでは、パナソニックS5の主要な特徴と性能を詳しく見ていき、実際の使用経験に基づいて長所と短所を分析します。
📊 パナソニック LUMIX S5の詳細仕様
機能 | 仕様 |
---|---|
センサー | 35mmフルサイズCMOS(35.6 x 23.8mm) |
有効画素数 | 2420万画素 |
総画素数 | 2528万画素 |
アスペクト比 | 3:2 |
画像処理エンジン | Venus Engine |
レンズマウント | Lマウント |
ファイル形式 | JPEG(DCF、Exif 2.31)、RAW、HLGフォト(CTA-2072) |
画質 | RAW、RAW+ファイン、RAW+スタンダード、ファイン、スタンダード |
画像サイズ | 6000 x 4000(L)、4272 x 2848(M)、3024 x 2016(S) |
ISO感度 | オート / 100(拡張) / 200-51200 / 204800(拡張) |
ホワイトバランス | AWB、AWBc、AWBw、晴天、曇り、日陰、白熱灯、フラッシュ、カスタム3設定、色温度設定(2500-10000K) |
シャッタータイプ | フォーカルプレーンシャッター |
シャッタースピード | 写真:1/8000~60秒、バルブ(最大30分) 動画:1/16000~1/25秒 |
連写 | メカニカルシャッター / 電子先幕シャッター:7fps(AFS)、5fps(AFC) 電子シャッター:7fps(AFS)、5fps(AFC) |
6Kフォト | 30fps(4:3または3:2アスペクト比、約18MP相当) |
4Kフォト | 60fps、30fps(4:3または3:2アスペクト比、約8MP相当) |
オートフォーカスシステム | コントラストAFシステム(DFD技術) |
AFモード | AFS(シングル) / AFC(コンティニュアス) / MF |
AF領域選択モード | 顔/瞳/体/動物検出、トラッキング、225エリア、ゾーン(縦/横)、ゾーン(楕円)、1エリア+、1エリア、ピンポイント、カスタム1-3 |
フォーカススタッキング | サポート(フォーカスブラケティングモードで) |
露出制御 | プログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアル露出 |
露出補正 | 1/3 EVステップ ±5EV |
AEブラケット | 3、5、7フレーム、最大±3 EV、1/3、2/3、1 EVステップ |
測光システム | 1,728分割マルチパターン測光システム |
測光モード | マルチ、中央重点、スポット、ハイライト重点 |
手ブレ補正 | センサーシフト式、5軸、Dual I.S. 2(最大6.5段) |
ファインダー | OLEDライブビューファインダー(236万ドット) 倍率:約0.74倍、視野率100% アイポイント:約20mm |
モニター | 3.0インチTFT LCD(3:2アスペクト比、約184万ドット) 静電容量式タッチコントロール、フリーアングル |
フラッシュ | 外部フラッシュのみ(ホットシュー付属) |
動画記録 | 4K UHD(3840x2160):60p/50p 4:2:0 10ビット、30p/25p/24p 4:2:2 10ビット Full HD(1920x1080):60p/50p/30p/25p/24p 4:2:2 10ビット 無制限記録時間(温度制限内) |
スロー&クイックモーション | 4K:1-60fps、Full HD:1-180fps |
V-Log / V-Gamut | プリインストール(14+ストップのダイナミックレンジ) |
音声 | 内蔵ステレオマイク、3.5mm外部マイク入力 96kHz/24ビット、48kHz/16ビットステレオ録音 リアルタイム音声モニタリング(3.5mmヘッドホンジャック) |
メディア | デュアルSDメモリーカードスロット スロット1:UHS-I/UHS-II UHS Speed Class 3対応 スロット2:UHS-I UHS Speed Class 3対応 |
ワイヤレス接続 | Wi-Fi 5GHz(IEEE802.11ac) / 2.4GHz(IEEE802.11b/g/n) Bluetooth v4.2(Bluetooth Low Energy) |
端子 | USB Type-C(USB3.1 GEN1)、HDMI Type D、3.5mmマイク、3.5mmヘッドホン、2.5mmリモート |
バッテリー | リチウムイオンバッテリーパック(7.2V、2200mAh、16Wh) |
バッテリー寿命 | CIPA規格:約440枚(背面モニター)、470枚(LVF) 省電力LVF撮影:約1,500枚 |
寸法(幅 x 高さ x 奥行) | 約132.6 x 97.1 x 81.9 mm |
重量 | 約714g(バッテリーとSDカード込み) 約630g(本体のみ) |
動作環境 | 0℃~40℃ |
防塵・防滴 | 防塵・防滴構造 |
🏋️ 軽量設計と優れた携帯性
パナソニックS5の最も注目すべき特徴の1つは、その軽量ボディです。バッテリーとメモリーカードを含めて714gという重量は、利用可能なフルサイズミラーレスカメラの中で最も軽量なものの1つです。
携帯性と操作性の完璧なバランス
- S5は前身のS1より300g以上軽量化されています。これは長時間の撮影セッションや旅行写真に大きな利点です。
- 軽量にもかかわらず、優れたグリップ感を維持しています。ソニーA7 IIIなどの競合製品よりも安定したグリップを提供します。
- ダイヤルやボタンは人間工学に基づいて設計されており、操作が容易です。
堅牢な耐久性
- S5はGH5レベルの防塵・防滴性能を備えており、厳しい環境でも自信を持って使用できます。
- 軽量でありながら、安っぽく感じない堅固なボディ構造を維持しています。
デュアルSDカードスロット
- 2つのSDカードスロットにより、バックアップ記録や写真/動画の分離保存など、柔軟なワークフローオプションを提供します。
- 1つのスロットはUHS-IIに対応し、高速データ転送が可能です。
📸 画質と性能
S5はS1と同じ2420万画素フルサイズセンサーを搭載し、実証済みの優れた画質を提供します。
優れた低光量性能
- ネイティブISO感度範囲は100-51200で、ISO 204800まで拡張可能です。
- 高ISO感度でもノイズ制御が優れており、ISO 6400まで使用可能な品質を提供します。
広いダイナミックレンジ
- S5はV-Log/V-Gamutプロファイルをサポートし、後処理でより広いダイナミックレンジを実現します。
- 高コントラストシーンや風景写真でのディテール保持に優れています。
ハイレゾモード
- センサーシフト技術を使用したハイレゾモードをサポートしています。
- 静止被写体に対して最大96MPの高解像度画像を作成でき、風景や商品撮影に有用です。
🎥 プロフェッショナルグレードの動画機能
S5は動画機能に優れており、プロのビデオグラファーさえも満足させる機能を提供します。
4K 60p 10ビット内部記録
- 4K 60p 4:2:0 10ビット内部記録、4K 30pでは4:2:2 10ビットをサポートしています。
- 10ビット記録により、より豊かな色情報が得られ、後処理に有利です。
V-Log/V-Gamutサポート
- S5はV-Log/V-Gamutをサポートし、14+ストップのダイナミックレンジを提供します。
- これにより、映画級の動画制作が可能になり、他のパナソニックカメラとの色合わせも容易になります。
無制限の記録時間
- 30分の記録制限がないため、長時間の連続撮影が可能です。
- 効果的な熱管理により、過熱の問題を最小限に抑えています。
様々なフレームレートオプション
- 4K 60pに加えて、1080pで最大180fpsのスローモーション撮影をサポートしています。
- ただし、120fps以上では音声記録ができないことに注意してください。
🔍 改良されたオートフォーカスシステム
S5の最も注目すべき改善点の1つは、オートフォーカスシステムです。パナソニックのDFD(Depth From Defocus)技術が大幅にアップグレードされています。
より安定したAF性能
- 以前のモデルで指摘されたAFの「揺れ」の問題が大幅に改善されています。
- 特に動画撮影時に、フォーカシングがより安定し自然になっています。
AIベースの被写体認識
- カメラは人の顔や目、動物、車両など、様々な被写体を認識し追跡できます。
- 複数の人物がフレーム内にいる場合、ジョイスティックを使用して希望の被写体を簡単に選択できます。
状況によるAF性能の違い
- フルフレーム4K 24pではAF性能がやや制限されますが、APS-Cクロップモードや高フレームレートでは性能が向上します。
- シャッタースピードが速くなるほどAF性能が向上する傾向があります。
🖥️ ディスプレイとビューファインダー
S5は価格帯に適したディスプレイとビューファインダーを提供しています。
電子ビューファインダー(EVF)
- 236万ドットのOLED EVFを搭載しています。解像度はハイエンドモデルよりも低いですが、ほとんどの用途で実用的です。
- 0.74倍の倍率と120Hzのリフレッシュレートにより、スムーズな画像プレビューを提供します。
バリアングル式タッチLCD
- S5は3.0インチ184万ドットのバリアングル式タッチLCDを搭載しています。
- 完全に可動するデザインにより、様々なアングルからの撮影やセルフ撮影が容易です。
🔋 バッテリー性能と接続性
S5は新しいDMW-BLK22バッテリーを使用しています。サイズはGH5のバッテリーと同様ですが、容量が増加しています。
優れたバッテリー寿命
- CIPAの規格では、LCDを使用して440ショット、EVFを使用して470ショットのバッテリー寿命があります。
- 実際の使用では、さらに多くのショットが可能で、省電力モードでは1150ショット以上撮影できます。
様々な接続オプション
- Wi-Fi 5GHz/2.4GHzとBluetooth 4.2をサポートし、スマートフォンとの接続が容易です。
- USB-Cポートで給電とデータ転送が可能です。
📈 競合製品との比較
S5はフルサイズミラーレスカメラ市場でいくつかの強力な競合製品に直面しています。主要なライバルモデルと比較してみましょう。
ソニーA7 IIIとの比較
- センサー解像度:両方とも24MP
- 動画機能:S5が4K 60pと10ビット記録で優位
- AF性能:A7 IIIの位相差AFがより高速で正確
- 価格:同程度だが、S5がより新しいモデル
ニコンZ6 IIとの比較
- 解像度:両方とも24MP
- 連写:Z6 IIが最大14fpsで優位
- 動画:S5がより多くのプロフェッショナルグレードの動画機能を提供
- レンズ選択:Zマウントがより多様な専用レンズラインナップを持つ
キヤノンEOS R6との比較
- 解像度:R6がやや低い20MP
- 動画:両方とも4K 60pをサポートするが、S5がより多くのコーデックオプションを提供
- AF性能:R6のデュアルピクセルAFが優れる
- 価格:S5がより手頃
パナソニックS1との比較
- サイズと重量:S5がはるかに小型軽量
- 連写:S1がより高速な連写とより大きなバッファを提供
- 動画:S5がより多様な動画機能を提供
- 価格:S5が大幅に安価
富士フイルムX-T4との比較
- センサーサイズ:S5がフルサイズセンサーで優位
- 動画:両方とも優れた動画機能を提供
- AF性能:X-T4がより高速で正確なAFを提供
- 価格:同程度だが、S5がフルサイズセンサーでより高い価値を提供
🛠️ 将来のファームウェアアップデート
パナソニックはS5の大規模なファームウェアアップデートを発表しており、カメラの価値をさらに高めると期待されています。
計画されている主要な機能追加
- シャッターアングル設定オプション
- シネマ4K解像度サポート
- ProRes RAW出力サポート
- ベクトルスコープ機能
これらのアップデートにより、S5のプロフェッショナルな動画制作能力がさらに強化されると予想されます。
💡 ユーザー体験と実際の使用
S5は様々な撮影シーンで優れた性能を発揮します。実際の使用経験に基づいて、以下のような重要なポイントがあります:
写真撮影において
- 風景:広いダイナミックレンジと鮮明なディテール再現が際立ちます。ハイレゾモードでさらに詳細な画像を撮影できます。
- ポートレート:改良されたAFシステムにより正確な瞳AFが可能で、フルサイズセンサーによる浅い被写界深度で美しいボケを実現できます。
- スポーツ/アクション:連続AFモードで5fpsに制限されますが、6K/4Kフォトモードで決定的瞬間を捉えることができます。
動画撮影において
- 旅行Vlog:軽量ボディ、可動式LCD、強力なIBISが手持ち撮影に最適です。
- インタビュー:V-Logプロファイルと10ビット記録により、後処理で豊かな表現が可能です。
- 映画制作:様々なフレームレートオプションと高画質により、映画的な動画制作が可能です。
🌟 結論:このカメラは誰に適していますか?
パナソニックS5は、写真と動画の両方の性能に優れた多用途なハイブリッドカメラです。特に以下のユーザーに適しています:
- 写真と動画の両方を扱うコンテンツクリエイター
- 軽量なフルサイズシステムを求める旅行写真家
- 手頃な価格でプロフェッショナルグレードの動画機能を求めるビデオプロデューサー
- GH5などのマイクロフォーサーズシステムからフルサイズにアップグレードしたいユーザー
長所
- 優れた画質と動画品質
- 強力なIBIS
- 様々なプロフェッショナルグレードの動画機能
- 軽量で堅牢なボディ
- 手頃な価格
短所
- 一部の競合製品と比較して連写速度が限定的
- AF性能が位相差AFシステムにまだ劣る
- 比較的低解像度のEVF
パナソニックS5は、フルサイズミラーレスカメラ市場に新たな基準を設定しています。その強力な機能、手頃な価格、優れた携帯性により、多くの写真家やビデオグラファーの注目を集めています。特にハイブリッド撮影を主に行うユーザーにとって魅力的です。ただし、超高速連写や極端なAF性能を必要とするユーザーは、他のオプションを検討する必要があるかもしれません。
結論として、パナソニックS5は、高い価値を求めるフルサイズミラーレスカメラユーザーに強くお勧めします。将来のファームウェアアップデートでさらに多くの機能が追加される予定であり、長期的な投資価値のある製品だと言えるでしょう。