パナソニック LUMIX S1Hは、プロの映画制作者やビデオグラファーのために設計された最先端のフルサイズミラーレスカメラです。6K動画機能、V-Log、デュアルネイティブISOを搭載し、映画級の動画制作を可能にすると同時に、優れた静止画撮影性能も提供します。このレビューでは、S1Hの主要な特徴、長所と短所、実際の使用体験を探り、このカメラがあなたのクリエイティブな取り組みに適しているかどうかを判断するのに役立ちます。
📊 パナソニック LUMIX S1Hの仕様
機能 | 仕様 |
---|---|
センサータイプ | 35mmフルサイズCMOS |
有効画素数 | 2420万画素 |
最大解像度 | 6000 x 4000 (3:2) |
画像処理エンジン | Venus Engine |
レンズマウント | Lマウント |
防塵・防滴 | あり |
動画解像度 | 6K (5952x3968) 24p/23.98p |
5.9K (5888x3312) 30p/25p/24p/23.98p | |
4K DCI (4096x2160) 60p/50p/30p/25p/24p/23.98p | |
4K UHD (3840x2160) 60p/50p/30p/25p/24p/23.98p | |
Full HD (1920x1080) 240p/120p/60p/50p/30p/25p/24p/23.98p | |
動画フォーマット | MOV: H.264/MPEG-4 AVC, H.265/HEVC |
MP4: H.264/MPEG-4 AVC, H.265/HEVC | |
ビット深度 | 10ビット4:2:2(内部)、12ビットRAW(外部) |
色空間 | Rec. 709, Rec. 2020 |
ログプロファイル | V-Log/V-Gamut(同梱) |
デュアルネイティブISO | ISO 640 & 4000 (V-Log) |
ISO感度範囲 | 100-51200(拡張:50-204800) |
シャッタースピード | メカニカル:1/8000秒 - 60分、電子:1/16000秒 - 60秒 |
連写速度 | 9 fps (AFS)、6 fps (AFC) |
手ブレ補正 | 5軸ボディ内手ブレ補正(最大6.5段) |
オートフォーカスシステム | 225点DFDコントラストAF |
AF感度 | -6EV ~ 18EV |
ファインダー | 5,760K dot OLED EVF、0.78倍倍率、60fps/120fps切り替え可能 |
背面モニター | 3.2インチ 2,330K dotチルト&フリーアングルタッチLCD |
トップLCD | あり(ステータス表示) |
記録メディア | デュアルSDカードスロット(UHS-II対応) |
接続端子 | USB 3.1 Gen1 Type-C、HDMI Type-A(フルサイズ)、3.5mmマイク、3.5mmヘッドホン、2.5mmリモート、シンクロ端子、タイムコード |
ワイヤレス | Wi-Fi 5GHz/2.4GHz、Bluetooth 4.2 |
バッテリー | DMW-BLJ31リチウムイオンバッテリー(3100mAh) |
バッテリー寿命 | 約400-500枚(背面モニター使用時、CIPA規格) |
寸法(幅 x 高さ x 奥行) | 151.0 x 114.2 x 110.4 mm |
重量 | 約1,164g(バッテリーとメモリーカードを含む) |
動作温度 | -10℃ ~ 40℃ |
🎥 動画性能:映画製作の新基準を設定
S1Hの最大の強みは、間違いなくその優れた動画性能です。
プロフェッショナルグレードのカラーサイエンス
- V-Log/V-Gamut:14+ストップの広いダイナミックレンジ
- 10ビット4:2:2:豊かな色情報を内部記録
- カラーグレーディングの柔軟性:映画級のカラーグレーディングワークフローをサポート
デュアルネイティブISO
- ISO 640 & 4000:2つのベースISO回路
- 低ノイズ高感度:低照度条件でもクリーンな映像
- 広いダイナミックレンジ:高コントラストシーンでのディテール維持
6K記録機能
- 6K 24p記録:5952x3968解像度の映画品質の映像
- 5.9K 30p:よりスムーズな動きが必要なシーンに適合
- 豊かな解像度:ポストプロダクションでの容易なリフレーミングが可能
🌡️ 革新的な冷却システム
S1Hは、無制限の動画記録を可能にするユニークな冷却システムを搭載しています。
内蔵ファン設計
- 効率的な熱管理:LCDスクリーンの背後に冷却ファンを配置
- 無制限の記録:過熱の心配なく長時間の記録セッションが可能
- 防塵・防滴性能の維持:防塵・防滴性能を維持
ユーザー設定可能なファンモード
- Auto 1:最適な温度維持のための自動制御
- Auto 2:ノイズ最小化を優先
- Normal:一定速度での連続冷却
- Slow:最も静かな動作だが、やや冷却効率は低下
📸 静止画性能:ハイブリッド撮影パッケージの完成
動画機能に重点を置いていますが、S1Hの静止画撮影性能も見逃せません。
高品質24MPセンサー
- 豊かなディテール:ほとんどの撮影シーンに十分な解像度
- 広いダイナミックレンジ:RAWファイルの高い編集柔軟性
- 高感度性能:デュアルネイティブISOによる低光量撮影の向上
多彩な撮影モード
- ハイレゾモード:96MPの高解像度画像を生成
- 6K/4Kフォト:18MP/8MP静止画の抽出が可能
- 連続撮影:最大9fps(AFS)、6fps(AFC)
パワフルな手ブレ補正
- 5軸IBIS:最大6.5段の手ブレ補正
- Dual I.S. 2:レンズO.I.S.と連動した強力な安定化
- ハンドヘルドハイレゾモード:三脚なしでの高解像度撮影が可能
🎛️ 使いやすさとエルゴノミクス
S1Hは、プロのニーズに応える直感的な操作性を提供します。
改良されたボディデザイン
- 大型トップLCD:撮影情報への素早いアクセス
- デュアルSDカードスロット:UHS-II対応の高速データ転送
- 堅牢なマグネシウム合金ボディ:プロ級の耐久性
ユーザーフレンドリーなインターフェース
- タッチスクリーン操作:設定の素早い変更とフォーカスポイントの選択
- マイリスト機能:頻繁に使用する設定への高速アクセス
- 改良されたメニューシステム:動画中心の設定を効率的に管理
様々なモニタリングツール
- ウェーブフォームモニター:正確な露出確認
- ベクトルスコープ:色バランスの検証
- 輝度スポットメーター:正確な明るさ測定
🔍 オートフォーカスシステム:DFDの進化
S1HはパナソニックのDFD(Depth From Defocus)技術を用いたコントラストAFシステムを採用しています。
静止画AF性能
- 225点AFポイント:広範囲をカバー
- -6EV低光量AF:暗い環境でも正確なフォーカシング
- 高速AF:0.08秒の高速フォーカス合わせ
動画AFの改善
- 強化されたトラッキング性能:前モデルと比較してトラッキング能力が向上
- 高フレームレートAF:60fpsと120fpsでさらに性能が向上
- 顔/瞳認識:ポートレート中心のシーンに有用
🔄 競合製品との比較
S1Hの市場での位置づけをより良く理解するために、主要な競合製品と比較してみましょう。
1. ソニー A7S III
- 長所:
- 優れたオートフォーカスシステム
- より高い最大ISO(409,600)
- 軽量(699g)
- 短所:
- 6K記録なし(最大4K 120p)
- 12MPセンサーによる限定的な静止画解像度
- S1Hと比較して低いEVF解像度
2. キヤノン EOS R5
- 長所:
- 8K RAW内部記録
- 優れたデュアルピクセルAF
- 高解像度静止画用45MPセンサー
- 短所:
- 8K/4K 120p記録時の深刻な過熱問題
- S1Hと比較して短い記録時間制限
- 限定的な10ビット内部記録オプション
3. Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro
- 長所:
- より手頃な価格
- 内蔵NDフィルター
- BRAWコーデックサポート
- 短所:
- 非常に限定的な静止画機能
- 低いオートフォーカス性能
- 短いバッテリー寿命
4. ニコン Z6 II
- 長所:
- より手頃な価格帯
- 優れた低光量性能
- デュアルプロセッサーによる高速連写
- 短所:
- 内部10ビット記録なし(外部出力のみ)
- 6K/5.9K記録オプションなし
- S1Hと比較して限定的な動画機能
5. 富士フイルム X-T4
- 長所:
- コンパクトで軽量なデザイン
- 優れたフィルムシミュレーションモード
- より手頃な価格帯
- 短所:
- APS-Cセンサーによるフルサイズと比較した画質の制限
- 6K記録なし
- S1Hと比較して限定的なプロ向け動画機能
6. RED Komodo 6K
- 長所:
- 映画級の画質
- REDCODE RAWサポート
- コンパクトなキューブデザイン
- 短所:
- 非常に高価格
- 限定的な静止画機能
- 短いバッテリー寿命
7. Z CAM E2-F6
- 長所:
- 6Kフルサイズセンサー
- 様々なコーデックサポート(ProRes、H.265)
- モジュラーデザイン
- 短所:
- 内蔵モニターなし(外部モニターが必要)
- S1Hと比較して限定的な写真機能
- 低いオートフォーカス性能
💡 このカメラは誰に適していますか?
パナソニック LUMIX S1Hは、特に以下のユーザーに適しています:
映画制作者
- 映画級の画質とカラーサイエンスを必要とするプロフェッショナル
- V-Logと広いダイナミックレンジを活用する高度なカラーグレーダー
ドキュメンタリー制作者
- 無制限の長時間記録が必要なフィールド撮影者
- 過酷な環境下での信頼性の高い性能を必要とする人
商業ビデオ制作者
- 高品質の4K/6K動画と静止画を必要とするプロジェクト
- ポストプロダクションの柔軟性のために高品質な動画フォーマットが必要な人
上級YouTuber/コンテンツクリエイター
- 映画的なルックを目指す高品質コンテンツ制作者
- 様々な撮影条件に対応できる多用途カメラを求める人
🔧 改善が必要な点
S1Hの優れた性能にもかかわらず、いくつかの改善が必要な点があります:
サイズと重量
- 1.1kg以上の重量は、長時間の手持ち撮影時に疲労を引き起こす可能性がある
- 競合製品と比較して大きなサイズは携帯性を制限する
オートフォーカスシステム
- コントラストベースAFは、位相差AFと比較して一部の状況で制限がある可能性がある
- 競合製品と比較して、高速で動く被写体のトラッキングが課題となる可能性がある
バッテリー寿命
- 高性能機能使用時の急速なバッテリー消費
- 長時間の撮影セッションには予備バッテリーが不可欠
高価格
- プロ級の機能によって正当化されるが、価格が障壁となる可能性がある
- 趣味や準プロユーザーにとっては大きな投資となる可能性がある
🏁 結論:映画製作の新基準を設定するカメラ
パナソニック LUMIX S1Hは、ミラーレスカメラの動画性能に新しいベンチマークを設定します。6K記録、10ビット4:2:2内部記録、V-Log、デュアルネイティブISOの機能は、プロの映画制作に十分な仕様を提供します。さらに、革新的な冷却システムにより、長時間の記録セッション中も安定した性能を確保します。
同時に、24MPフルサイズセンサーと高性能IBISによる優れた静止画撮影性能を提供し、真のハイブリッドカメラとしての姿を体現しています。
しかし、そのサイズ、重量、コントラストベースAFシステムの制限は、一部のユーザーにとっては欠点となる可能性があります。また、高価格は参入障壁となる可能性があり、購入前に慎重な検討が必要です。
結論として、パナソニック LUMIX S1Hは以下のユーザーに強くお勧めします:
- 最高の動画品質を求めるプロの映画制作者
- 信頼性の高い長時間撮影を必要とするドキュメンタリー制作者
- 高品質の動画と写真を扱う商業ビデオ制作者
- 映画的なルックを追求する上級コンテンツクリエイター
一方、以下のユーザーは他の選択肢を検討するのがよいかもしれません:
- 主に高速動体を撮影するスポーツ/野生動物写真家
- 軽量機材で旅行するVlogger
- 限られた予算で始める初心者の動画制作者
パナソニック LUMIX S1Hは、現在市場で入手可能な動画性能に関して最もパワフルなミラーレスカメラの1つであることは間違いありません。プロユーザーにとっては十分な投資価値があり、将来のファームウェアアップデートを通じてさらに高度な機能が提供されることが期待されます。